福岡にて
February 3, 2000
今晩は出張で福岡に来ている。
午後3時半近くまで東京で仕事をし、タクシーで一路羽田に向かい、午後5時のフライトに乗り込むと、福岡着は午後7時45分。迎えの車に乗って取引先のオフィスへお邪魔し、打ち合わせを済ませ、ホテルにチェックインしたのがちょうど午後9時ごろ。紡績工場の跡地を地元の銀行系デベロッパーが再開発したカナルシティーにあるホテルに泊まる。
普段の地方出張はほとんど日帰りなのだが、今回は一応2泊3日と余裕の日程だ。
東京を離れて良いことは、まず時間の進み方がのんびりする点、それから街の建物の高さが高くないので圧迫感を感じなくて済むこと、それから私の嫌いな人ごみにほとんど出会わなくて済むことがある。やはり東京は尋常ではない街だということが東京を離れるたびに再確認できる。日本だって、東京さえ離れれば人間らしい暮らしが無理なく営める。大体の街で、中心地から20~30分という通勤圏内で3LDKのマンションが3千万円内外というレベル。
特に福岡は、商業の中心地である天神には地元岩田屋をはじめ、三越など多数の有名デパートが軒をならべ、デパートウォーズといわれるぐらいの激戦区だ。品揃えは東京とまったく同じレベルで、なおかつゆったりと買い物ができる。最近完成した大川端のリバレーンなどは高級ブランドブティックだけでできた商業スペース。グッチ、プラダ、ブルガリ、ヴィトンなど以外にもカッシーナ・インターデコールなんかもテナントとして入っている。正直、これだけブランド品がそろった商業スペースは東京にだって存在しない。ワインショップも充実しているし、Café Blue、Ken’s Chant Diningといった洒落たレストランも顔をそろえている。なおかつ、リバレーンの最上階は吹き抜けのオープンスペースに福岡ミュージアムというゆったりとした設計。かつまた、中心地からクルマで20分も走れば、福岡空港、福岡ドームもある。週末にのんびりしたければ海ノ中道のリゾートホテルもすぐそばだ。
食事だって、海の幸にめぐまれ、なおかつ値段が安い。ちょっと奮発して河豚を食べたのだが、ホテルのコンシェルジェお薦めの「あまのや」(092-714-2367)はアラと河豚などの鍋物料理を得意とするお店で、個室で天然物の河豚をフルコースで食べ、ビール、ひれ酒をたっぷり飲んでお一人様2万円なり。東京ならば同じ内容で到底3万円ではおさまらないだろう。こういった高級店だけではなく、リーズナブルでおいしいお店が山のように中州にはある。那珂川端の屋台だってあなどれない。
私は福岡に来る度に、ぜひここに住んでみたいと思う。
東京一極集中というのは不動産投資を生業にしている私にとってはありがたいことなのだが、なんだかおかしい気がして仕方がない。やはり東京圏は人間が人間らしく暮らすという環境をもはや通り越している。殺人的なラッシュアワー、恒常的な渋滞、バブルがはじけたとはいえ未だ高い土地。レミングの集団自殺ではないが、生物は一定以上の密度になると生きていけなくなる。そういう意味では東京は既に発狂した都市ではないだろうか。
水木揚氏が東京の独立の話を小説にしていたが、東京はもっとスリムな都市になっていく必要があるし、それが日本全体にとっても良いことになるはずだ。日本全体の発展の観点から、東京に本店を置く企業への重課税率適用、都心部の固定資産税引上げ、三権のうち二つ以上の東京からの移転を実施し、東京に集中することに対するペナルティーを科す。それと同時に地方に移転する企業への優遇税率適用、移転関連費用の長期間償却を認めるといったインセンティブを与える。
田中角栄は日本列島改造論を唱え、土建屋政治の極地を走り抜けたが、彼は日本全体を見渡したプランを提供したという意味においては評価されるべきであろう。20年後の日本のためには東京はどうあるべきなのか、こういったマクロかつ長期的視点での政策提案が今の政治家には存在しない。切れ味のよい政策提言で有名な石原都知事はどう考えているのか、ぜひとも知りたいものだ。