デジタルばかりが能じゃない
February 5, 1998
伊藤師匠と食事をした。
約束のお店にすこし遅れて到着すると、伊藤さんは携帯で電話の真っ最中だった。電話が終わると「ばぶちゃんさぁ、河豚のおいしいお店知らない?」とのこと。西麻布にあるお店がおいしいのは知っていたのだが、どうにも店の名前を思い出せない。それではと、私はPHSとノートPCを取り出してインターネットのグルメ関係のホームページで検索を始めた。
「ふぐ、ふぐ・・」と言いながら私は検索を続けたが、ふぐの宅配のページはいくつかあるが、ふぐ料理専門店を紹介しているページはいっこうに出てこない。伊藤さんはぎっしりと電話番号が詰まった手帳を取り出しては何人かに電話をかけつづけてお店を探している。「うん、そうそう。え?そこおいしい?よーっし。じゃぁ、そこにしよう。うんうん。じゃぁ電話番号教えてよ。・・・」どうやら伊藤さんはお店を見つけ出したようだ。結局そのお店に予約をいれて一件落着となった。
まあそもそも河豚を食べる層とインターネット利用者の中心である若い世代とはあまり重なりが無いというのが最大の理由なのだろうが。もちろんこれが河豚ではなくてGreenspanが先週の講演で何を言ったかということを調べるのであればインターネットのほうに軍配が上がったにちがいない。
情報を集めるには一つのソースに偏ってはだめなのだ。どれだけ情報にかんして懐の深さを持っているか。これが大事である。インターネットなどのデジタルメディアは全能であるといったトーンの議論がされているが、全能の情報源なんてありっこない。あくまでも世にあまたある情報ソースの一つがインターネットなのだということを忘れてはいけない。
いつもはネットの上でやり取りをしている伊藤さんと会ってご飯を食べるのも、メールのやり取りばかりでは交わせない情報をやり取りするためである。「パソコン通信、インターネット=オタク」という図式でしか考えられない人がいるが、ネットをフルに活用して情報収集している人たちはいつでもFace to Faceのやり取りを忘れないのだ。