ネットと経済政策
March 8, 1998
風営法を改正し、インターネット上でのアダルト画像有料提供無店舗型風俗営業ということで規制するという方向が閣議決定された。さらに情報の発信者だけでなくプロバイダーに対しても一定の責任を負わせた。
全く愚かなことだ。
インターネットが今日の姿まで爆発的に拡大してきた理由は、それがOPENで自由なネットワークだからだ。新しいことを思い付いた誰もが、そのアイディアを世界に向けて実現することが簡単にできるというのがインターネットの最大の魅力である。
アメリカなどはその爆発的な拡大を推進力として経済を大きく成長させた。クリントン政権といえども当初はCommunication Decency Actなどでインターネット上のポルノを取り締まろうとしたが、結局のところ業界団体の自主的な規制にすべてを委ねている。ネットに規制をかけることのデメリットの大きさを思い知ったからである。
風営法を改正してどれほどの効果があるのだろうか?日本の法律が適用されないところにサーバーを置けば終わりである。インターネットでポルノを売りたい奴はどんな法律を作っても消えてなくならないのである。Digicashでもクレジットカードでもなんでも良いから海外で決済する方法を手に入れれば、こんな規制は簡単に迂回できる。さらに4月から外為法が改正されるので、海外との資金のやり取りも朝飯前になってしまうので、どれほど実効性があるかは相当疑問である。
もし本当にインターネットでのポルノを撲滅したいのならば日本に接続されているすべてのインターネット回線を切断するしかない。それは日本を再度鎖国の時代に引き戻すことに他ならない。
この規制を承認した大臣の誰か一人でも、こういった規制がどれほどのマイナスの影響を日本のインターネット産業に与えるのかを考えたことがあるのだろうか。自分の運営しているサーバーの中に有料でアダルト画像を売るサイトがあるか否かを気にしなければインターネットプロバイダーが運営できないというのでは、あぶなっかしくてプロバイダーなんてとてもやってられない。
多くの若い力がインターネットという産業に踏み出してくるチャンスをこの法律は握り潰すものだ。
今後日本が経済的に発展していくためには情報通信分野以外にめぼしい産業はないだろう。その唯一の生き残りの可能性を失わせる規制を考え出す日本政府にまっとうな経済対策など期待する私たちが馬鹿なのだろう。