劇的な経営
April 13, 1998
シティーコープのトラベラーズとの合併に続く衝撃的な合併発表が2つも行われた。
バンカメとネーションズバンク、バンクワンとファーストシカゴである。これによって一夜にして今までに例を見ない巨大な商業銀行が2つ出現することになった。
この合併が先日のシティーコープ&トラベラーズの合併に影響を受けて開始された話だということは考えにくいが、すくなくとも米国のトップバンクの経営陣は絶好調とも言うべき米国景気の中でさえも更なる拡大のためにドラスティックで戦略的な動きを模索していたことがはっきりとした。
最近発表されたすべての合併に言えることは、強者と強者が更なる高みを目指して合併を行っていることである。UBSとSBCの合併も同じ方向性を目指しているといえよう。逆に言えば強者と呼ばれる存在であっても補完的な合併によりシェア拡大を目指し、競争の中で常勝を志向するのが世界の金融機関の常識であるとも言える。
翻って日本の金融機関を取り巻く状況はどうであろうか?不良債権の処理はバブル崩壊後7年目にしてやっと抜本的な解決手段である不良債権の売却が行われるようになり、多少の前向きな兆しは見えるものの、引き続きノンバンク、ゼネコンといった不良債権予備軍を抱え、格付けの格下げ圧力に抗するのが精一杯で、一つも将来の展開を見据えた戦略的なアクションは見えてこない。不良債権売却にしても市場を作り出したのは外資系投資家であり、日本の金融機関は単に売る立場に回っているだけである。
今日本の金融機関の経営者に求められているのは、かねてより繰り返し述べていることではあるが、過去の因習、常識、自らの地位の保全といった全てを投げ捨て、劇的なまでの戦略的アクションを採ることである。世界の競争相手が持っている戦略的視点から見れば不良債権の売却などは児戯に等しいといえる。
たとえば不要な資産、店舗と人員を1,000人オーダーで日本に拠点を欲している外資系金融機関に売却し、一気に身軽になるといったようなことを行うことも必要であろう。追いつめられてからではたたき売りになってしまい、こういった戦略的資産売却は行えないことを考えるべきである。未だ呼吸があるうちに手術は受けなくてはならない。鼓動が止まってからではどんな手術も命の輝きを取り戻すためには役立たない。
健全な金融機関が更なる高みを求めてもがき苦しむ姿を見て、日本の銀行経営者は何を考えるのか?それは決して対岸の話ではなく、同じフィールドで競争する相手のとっているアクションなのである。これほどの状況を見て、自らの無為無策振りを心から反省せず、劇的なアクションを志向しない銀行経営者は直ちに辞職するべきであろう。
そう何もしないことは背信的行為なのである。