ハワイの光と陰
April 21, 1998
ワイキキのメインストリートであるカラカウア通りを夕暮れに歩くと、そこには世界中からハワイに休暇を求めてやってきた人の群れがあふれている。
オレンジ色の街灯の下、アイスクリームを食べながらウィンドウショッピングをする人、いかにも新婚旅行然としたカップル、派手なストリートガールに声をかけられて当惑している日本の大学生らしき若者。皆で楽しそうに歩いている家族連れ。みんな誰も彼も普段と違う日々を楽しみ、すこし日焼けで赤くなった顔には笑顔があふれている。これが太平洋のダイヤモンドといわれるハワイの光の部分。
しかしそういった光の部分を支える舞台裏は、3年連続の経済低成長に喘ぎ、日本からの投資引き上げに苦悩しているハワイである。100年以上の歴史を持つリバティーハウスという地元最大のデパートチェーンは会社更正法の適用を申請し、毎日のように100人単位で地元有力企業や公務員のレイオフのニュースが紙面を飛び交う。州政府は決定的な景気刺激策を打ち出せずに州知事選挙を控え場当たり的な施策を積み上げる。アメリカで一番高い物価水準の中で、人々は明日の暮らしに不安を持ちながら、世界中から集まってくる観光客を笑顔でもてなしている。これがハワイの陰。
今、10日間の休暇をもらってハワイで過ごせと言われても、きっと私は心の底からくつろぐことができない。それはリゾートパラダイスの光と陰を見てしまったからだろう。
やはりリゾート地は暮らすところではなく、過ごすところである。