日本
August 11, 1998
株が下がっている。為替も円高になっている。長銀の株は40円を切ってしまった。日本発の世界株安だと騒ぎになっている。
付き合いのある、有名なアメリカ人の不良債権売却コンサルタントは烈火のごとく私にむかって文句を言っている。
「木下さん、いったいこの国はどうなっているんですか?為替がこんなになっている。金融システムは目茶苦茶になっている。銀行株なんかは投げ売り状態だ。日本は世界の経済に対して責任を負っているのに、国会ではなんにも話しが進んでいないし、不良債権を処理しようとする気もちなんかこれっぽちもないじゃないか!!なんなんだ。」と。
彼の言うことにも一理ある。日本の社会が現在さまざまな問題を抱えているのは事実だし、それに対してのアクションは遅い。不良債権の問題は長期化しているし、景気も悪い。株も安い。地価も下げつづける。リストラは厳しさを増す。わけのわからない犯罪は増えている。誰も彼も何を信じて良いのかわからなくなっているという状況だ。
しかし、彼が私に噛み付くのを聞きながらふと思った。
何をそんなにおびえる必要があるのか?と。
世界の債権国、日本。1,200兆円の個人資産で借金漬けの国アメリカへ資金供給するGNP世界2位の国、日本。1億2千万人の勤勉なる国民を抱える国、日本。世界でもっとも治安の良い国の一つ、日本。この日本がそれほど不安かい?と。
あせる必要はどこにもない。パニックに陥る必要もない。経済が多少動揺しようとも、僕等が生まれ育った日本という国はどこにも行かない。日本の大地は何が起きても、そこに変らずありつづける。僕等の人生もどこにも逃げて行かない。戦争でも起きて全滅しない限りは、人生はどんな形であれ僕等を置いてどこかへ行ってしまうことはない。
今の厳しい状況は、日本が良くなるためのチャンスだと前向きに考えるべきだ。周りがどれほど煽ろうとも、拙速は禁物である。日本人、一人一人が、自分にとっての幸せとは何か?人生とは何なのか?を真剣に考えないといけない。それと同時に、個から視野を広げ、日本の社会がどうあるべきなのか、国はどうあるべきなのかも考えなくてはならない。
日本という社会の将来あるべき姿がコンセンサスとして得られなければ、今の日本人の心に宿る底無しの闇を覗き込むような不信感、不安感は払底されない。小渕政権が無策である。官僚は間違っていた。こうやって他人を批判することは簡単である。ならば、あなたならこの日本をどうしたいと考えるのか?この問いかけに解答を出そうと、誰もが真摯に努力して、はじめて日本は甦る。