Honda S2000
October 11, 1998
今日はとてもすがすがしい一日だった。風はさわやかだし、秋晴れの空はどこまでも高くひろがっていた。まさに今日はオープンカー日和。そんな日に是非乗りたいと思うオープンスポーツの発売が予告された。
その名はHonda S2000。本田技研の創立50周年を記念するメモリアルマシンである。
ホンダといえばFFであるが、このS2000は、当時モータースポーツ界を風靡したS800以来30年ぶりにホンダが世に問うFRマシンである。スペックは、LEV(Low Emmission Vehicle)基準をクリアーしつつも240馬力以上を叩き出すNA2リットルVTECエンジンを搭載、6MTのオープン2シーター。前後重量配分が50:50のフロントミッドシップ。ボディーエクステリアはロードスターの原点であるロングノーズ&ショートデッキ。まさにスポーツカーとしての古典を踏襲しつつ21世紀を見据えたマシンだ。
95年の東京モーターショーで発表されたコンセプトスポーツSSMが量産モデルへとその姿を遂げたのがこのS2000。正式な発売はベルノ系列から半年後の99年4月となり、価格は250万前後となる見込みである。年間生産台数は12,000台、その内4,000台程度が日本国内販売にまわされる予定。
このクルマ、トランクにゴルフセットが積めるわけではないし、RVと違って家族全員で出かけることができるわけでもない。キャピンだってゆったり感とは程遠いタイトなものである。オーディオも1DINの容量しかもたないので、今はやりのMD&CDというわけにはいかないだろう。クルマを移動の手段としてしか捉えない人には何の価値も無いクルマである。しかし、人とクルマが一体となり、それを操る楽しさを追求する人にとっては、心からの興奮を沸き立たせるマシンだ。
私の故郷、浜松の自転車修理工場から本田宗一郎氏が立ちあげたモータービジネスは世界のホンダにまでなった。浜松出身の私にとってはホンダは単なるクルマメーカーとは思えない。今は亡き私の祖父は、事業を立ちあげた頃から宗一郎氏と仕事上の付き合いがあり、祖父は幾度となく彼の人柄を私に語って聞かせた。私の親友の父親はホンダのF1マシンエンジンの鋳型のもとになる木型を作っていた。振り返ってみれば、ホンダはとても身近な存在である。
そして今ホンダは一度は撤退したモータースポーツの頂点F1に再度挑戦する。モータースポーツでの伝説、あるいは神話をもたないメーカーは真のカーメーカー足り得ないというのは幾度となく語られた現実である。再びホンダは伝説を作るのだろうか?
来年4月、私はS2000のステアリングを手にし、ホンダの伝説を自ら感じてみたいと思っている。