私がマイクロソフトで学んだこと
November 28, 1997
パソコンユーザーなら誰もが知っているパソコン界の覇者「Microsoft」。
この覇者マイクロソフトの現役社員が同社経営の強さを生み出している理由を、自らの経験を通じユーモアに満ちた文章で紹介しているのが本書「私がマイクロソフトで学んだこと (英題:All I really need to know in business I learned at Microsoft.)」である。経営書に分類される本だろうが、普通の人がイメージする経営書の硬さはひとかけらも無く、むしろ「マイクロソフティー(マイクロソフト社員のこと)」の日々の暮らしのエッセイ集として楽しく読める。
マイクロソフトの強さの最大の理由が強力なマーケティングパワーにあることは誰も否定しないであろう。そしてマーケティングパワーを生み出す源泉となるものには、顧客志向、失敗を恐れない積極性・創造性、資源の重点への集中投下、迅速な経営判断などが挙げられる。本書ではそういったマイクロソフトが市場で勝利してきた理由を分析し、さらにそこから「なぜそういった強さを持つことが可能となるのか?」という経営面における特徴に関する分析を実例を通して進めていく。
マイクロソフトが売っているものは形の無い物である。それはソフトでありソリューションであり、情報である。ふと、振り返ってみれば私の働く金融業界も商売のネタは形の無い金融商品であり、資金運用・調達のスキーム(ソリューション)であり、情報である。マイクロソフトの経営と比較すれば、日本の金融機関の有り様は梅干しくらいの小さい脳しか持たず、図体ばかり巨大な恐竜に喩えられると実感する。
顧客の視点からの分析を徹底し、その分析に基づきビジョンを作り上げ、創造力とスピードと破壊力に富む小人数のグループで構成された組織が失敗を恐れずに市場への浸透を図る。これが日本の金融機関にとって、「スピードの経済」あるいはDog Yearの中で進むべき変革の方向であることを本書は示唆している。