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預金口座


新しい会社にはいってさっそく困ったことがある。

それは銀行預金の口座である。いままでは銀行に勤めていたので、自分の勤め先には必ずATMもあり、給料についても従業員預け金口座と呼ばれる口座に自動的に振り込まれていたので、預金口座に特段の意識を払ったこともなかった。ところが、新しい会社の人事担当から「給与振込みの口座はどこにします?」と尋ねられたとき、ふと考え込んでしまった。

そういえば前の会社の一番近い支店はどこだ?と。考えてみれば以前勤めていた本店が一番近いお店になるのだ。電車で約15分かかる場所である。さすがにそれでは不便。

ということで「あっ、これから近場の銀行で口座を作りますから、ちょっとまっていただけます」と返事をしたところ。この人口座持ってないの?ってな顔をして人事の人はちょっときょとんとしている。「前の勤め先の口座しかないんで。普段使うには近いところが良いと思いまして。」と慌てて付け加える。

やっぱり日々の生活資金を預けるには自分がアクセスの良い銀行の支店に口座を開くのに限るという当たり前のことに気がついた自分がいた。どうも銀行員にとっては預金口座というのは自分が勤める先にあるので、口座を開く支店の利便性とかATMの数の多さだとか普通のお客さんが口座を開くときに一番重要視することを肌身を持って感じることがないようだ。もちろん、鈍感な私だけなのかもしれないが・・・

都市銀行に勤めていたりする人だったならば、それほど気にはならないだろうが、信託銀行は残念ながら支店の数が少ない。顧客の視点からの利便性云々とかいろいろ議論したことがあったが、やはり口座を開いている支店がそばにあるというのは何はなくとも便利だ。大抵、口座というのは特定の支店が取扱店になっていて、他の支店では事務上処理できないことがあったりすることを知っているからなおさらである。これは頭でわかっているのと、実感するとでは大きな違いだ。銀行に勤めていたときは口座は特定の支店が取り扱いを管轄しているというのは「所与」の事実として認識していただけで、それに疑念を持ったことはなかった。しかし、支店の数が少ないのであれば、そういう弱点を多少なりとも克服するために、どこの支店でも全ての手続きが取り扱えるようにするのが、顧客第一主義だろう。

顧客である預金者は複数の銀行を利用し、そのサービスの違いなどを肌で感じているが、銀行の方はほとんどの人が自分の勤め先以外の銀行を利用することもないだろう。これではいくらCustomer Satisfaction(CS)と言っても本当に顧客の視点で考えることは難しいように思う。自分が当たり前と思っていることを顧客の目でもう一度見直して、いったい何がほんとの利便性なのかというところからシステムやら事務フローを考える必要がある。

いっそのこと自分の勤め先の銀行では口座開設をしてはならないといった方針でも打ち出して、他の銀行をどんどん利用して、自分達の銀行のサービスの問題点を実感するようにしてはどうだろうか。