(Last modified on September 3, 1995)


破綻金融機関の経営者責任と日本のコーポレートガバナンス


つい先日兵庫銀行の経営破綻が表面化し、96年最初にも清算が行われることが発表された。これ自体は、方法論の是非云々は別にして、今後の日本の金融機関の不良債権処理の第一歩として高く評価できる出来事である。

大蔵大臣は「これで終りだ」と言うことを強調したいようだが、残念ながらこれで打ち止めとは到底思うことは出来ない。上に述べたように、あくまでも不良債権処理の第一歩であり、住専問題解決への取組みなどに伴って破綻金融機関が今後も出現してくるのは不可避的な状況であろう。

そこで、一つの大きな疑問が沸き上がってくる。

破綻金融機関(ここでは有限責任の株式会社としよう。)の経営陣に自らの財産を投げ打って損失を補填する義務が存在するか否かという事である。

これは当然ながらNoであろう。しかし残念なことに世間では「破綻金融機関の経営者は私財を投げ打つべし」という風潮が存在する。これは極めて誤った考え方であろう。そしてこの誤まりは、日本人の会社に対する誤った考え方に起因する物だと言えるのではないか。即ち、会社とはあくまでも株主の持ち物であって、会社の経営陣の持ち物ではないという事である。

会社の破綻を引き起こすような無能経営者を野放しにしておいた責任は株主にある。もし、株主が経営者に大きな過失があると信じるのであれば、株主代表訴訟を提起して、取締役ならびに監査役に損害賠償を請求すればいいのである。

債権者(預金者とも言い換えられるが)は、経営陣が債務に対して個人保証を差し入れていないかぎりにおいて、当然に経営陣の私財を投げ打てという主張をなす権利を有しない。債権者が金を貸したのは、経営者個人に対してではなく、株式会社という法人に対して貸したのである。


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