(Last modified on June 2, 1995)


最近のインターネットについて


どうも世の中ではインターネット、インターネットと大騒ぎしている。まるで未来 のドアを開ける鍵がどこからか降ってきたみたいな言われ様だ。つい数か月前まではパソ通、パソ通と騒いでいたビジネス雑誌までもが「これからはインターネット してないとビジネスマン失格ですよ」みたいな記事を載せている。

新聞だって同じ。毎日産業欄のどこかにはなんとかという会社がインターネットで 情報の提供を開始したとかいう記事が紙面をかざっている。

でもそういう記事に一度もインターネットアドレスが載っていたことが無いことを 何人の人が気づいているのだろう?新しい商品の記事を載せて問い合わせの電話番号を載せていない事と全く同じなのに、どこからも文句がでない。

よく見てる人には今のインターネット騒動が作られたものだって事がすぐにわかる はず。騒いでいる人が実際にはインターネットにアクセスした事が無い人ばかりだって事がすぐにわかる。

確かに今のインターネットの騒ぎは日本におけるインターネットの認知度を引き上 げたし、商業サービスプロバイダーの設立で学術分野以外の人のアクセスを容易にしているというメリットはあったかもしれない。でも今の騒ぎがどんどん続いてい くことは日本のインターネットには決していいことばかりではないように思う。

商業ネットからインターネットを利用した人が最初に持つ感想に「どうもインター ネットの人は技術者みたいな人ばかりだね。」っていうものがある。でもこれは今のインターネットの現状からいけば当然のことなのだと思う。商業ネット出身の人 が慣れ親しんだ秩序だったヒエラルキーはインターネットには存在しない。Webという言葉がまさに示すようにスキゾフレーニーな構造が存在するだけ。

Webの中を行き来する人には最低限自分のやっている事が何をしているかがわかる 必要がある。それがわからない人が押し寄せて来たら微妙なバランスに乗っているwebが壊れてしまう。例えば鬼太郎のオヤジと呼ばれるQuick Camで映像を取り込ん でCU-See-Meを使ってインターネットでビジュアルチャットをやることは誰にでもできる。でもこのビジュアルチャットがどれだけネットに負荷をかけているか、下 手をすればサーバーの1つや2つダウンさせるのは簡単だ。それがどの様なインパクトを持つかを理解できない人にはWebの中を往来する資格はないと思う。

「そうやってエリート思想みたいな事をすぐに言う。」とか「知らなかったからし ょうがないよね。」っていう言い訳が聞こえてくるが、そんなことは言い訳にもならない。色々な国の刑法には国家の仕組みをひっくりかえそうとする者を厳しく処 罰する法律がある。国家反逆罪とか国家転覆罪って奴だ。インターネットにとってだって同じことが言える。ネットの存在自体を崩壊させるような参加者は許されな いはずだ。

こういう事を言うと「新しい時代のパラダイムを構築するためには、既存の規範に 縛られない形での展開が必要だ。」等と訳知り顔で能書きをたれる奴がでてくるが、これも私の思っている日本のインターネットにとってよくないことの一つだ。 実際にネットの事をしらないでネットの事を語る事が決してネットを良くしていくとは思わない。

インターネットに可能性を見いだすのであれば、まずインターネットに繋がってみ てから語るべきだ。そこには現実のインターネットの限界が横たわっており、それを認識したうえで夢を語ってもらいたい。

ネットのことはネットに聞けである。



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