
(Last modified on June 10, 1995)
終身雇用や日本式経営システムには評価されるべき点が多くあると思 います。その一つが長期的な視野にたった企業経営だったように思います。ア
メリカの企業の多くが短期的な業績ばかりに執着して長期的な投資を怠ったば かりに空洞化して言ったこととは対照的だとしてよく語られます。
日本式経営の優れた点として語られるこのような長期 的な視野にたった経営というは,あくまで経営者が自分のこととしてその会社 の10年後あるいは20年後の行く末に責任をもてるのであれば語るべきこと なのだ、ということでしょう。むしろ現在批判されなければならないものは日本式経営に対する批判というよりも、日本のサラリーマン社長に対する批判ではないでしょうか。
オーナー社長であれば、失敗すれば彼らは自らが築いてきたもの全てを失うこ とになるわけです。多くの日本式経営の代表として語られる企業は何らかの形 で創業者一族の影響が色濃く残っているような企業である様に思われます。
それでは,いわゆるサラリーマン社長というのはどうなんでしょうか?彼らは 終身雇用という長い階段を上り詰めて頂点まで来た人です。皆良い業績を残し て花道のなかを退任していきたいとは思っているでしょう。ですが,もし何ら かの理由で業績悪化したり,とある会社の様に為替で巨額の損失をだしたとし たらどうなるのでしょうか?多分社長は責任をとって辞任するでしょうが,そ の社長は退職慰労金をもらって後は悠々自適の暮らしが待っているのではな いでしょうか?大失敗をしてもオーナー社長に比べれば彼らの失うものなんて大きい ものがあるわけではないのです。まあ財界の役職を諦めなければならない程度 のものでしょう。
10年後にいない人間が10年後のことを語るなんてことは無責任以外の何物 でもないのではと思うのです。これって完全にモラルハザードなんではないでしょうか? 株主総会だって株式持ち合いのせいで業績悪化を理由に社長をクビにするなん てことはできないでしょう。これに比べれば株価がさがったことを理由に株主 にクビを切られるアメリカ企業の社長の方がよっぽど責任は負っているような 気がします。(株価がピーク時の数分の一になっても引き続き役員をやってい られる日本の経営者は本当に幸せ者たちです。)
同じことが従業員にだっていえると思います。終身雇用制のもとではなにもし なくたってクビにはならないで食わせてもらっていけるわけです。(最近はそ うでもないみたいですが...)一度は「何であんななにもしないオッサンが 自分の倍以上の給料もらってヘラヘラしてるのかなぁ?」って思ったことがあ るはずです。これだってモラルハザードです。
要は、自分のやったことにみんなが責任をきちんととる体制ができていればど んな経営システムであろうと大丈夫なんでしょうね。そういった意味から言え ば、市場原理を徹底することによって各自の責任の明確化をするということも 一つの見識なんではないでしょうか。